商品やサービスを展開するうえで、アフターサービスは必要不可欠です。では、順調に収益を上げるためには、アフターサービスがどれほど重要になってくるだろうかと、お悩みではありませんか?
収益化を実現するためには、情報を一元化し、システムを効率化するプロセスが欠かせません。効率化したシステムをマーケティングに活用していくことで、アフターサービスが充実し、収益化につながるだけでなく、ほかの企業とも差別化を図れるでしょう。
安定した収益を上げ続けたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
アフターサービスの課題
アフターサービスにおいて、よくある課題は以下の6つがあります。
・同じ問い合わせ内容が多い
・問い合わせが多すぎる
・情報が社内で共有されていない
・情報が一元化されていない
・デジタル化が進んでいない
・マーケティングに活用できていない
収益化につなげていくためには、課題を明確にして取り組む必要があります。それぞれ見ていきましょう。
同じ問い合わせ内容が多い
製品情報など、必要な情報が顧客に行き届いていないため、同じような問い合わせも多くなることがあります。必要な情報が提供できていなければ、カスタマーサポートなどのコールセンターでは、1日中電話対応に追われることになります。
問い合わせが多すぎる
取り扱う商品やサービスの増加や、近年のデジタル化による進歩の影響で、電話やメール、チャット、SNSなど、複数の問い合わせ窓口を設置したために、対応しきれないケースがあります。
入り口を広げたことによって問い合わせ件数が増えた結果、従来の体制では人手不足となり、サポートにつながりにくいなどクレームにつながり、かえって顧客満足度が低下してしまうでしょう。
情報が社内で共有されていない
情報が共有されていない問題として、コールセンターがあげられます。顧客からの問い合わせを担当者同士で情報共有できていないために、同じ質問を繰り返してしまうことがあります。
顧客は、質問やクレームを早々に解決したいと考えているでしょう。そのためには、過去に問い合わせの多かった事例を共有するシステムを構築したり、回答マニュアルを作成したりして、スムーズで的確に対応できる取り組みをする必要があります。
情報が一元化されていない
メールやチャットでの問い合わせが多数あっても、それぞれ違うシステムを使用していたり、コールセンターと連携ができていなかったりと、顧客情報の一元管理ができていない状況があります。
複数の組織や異なる形式で管理されている場合は、顧客やマスタ情報を統合するシステムを導入するなど、AIやERPなどのデータベースを一元化する仕組みを構築する必要があります。そのためには、社内プロセスの見直しから始めるとよいでしょう。
デジタル化が進んでいない
デジタル技術が進んできたとはいえ、企業にはまだまだアナログ業務が残っている状況です。多様化する顧客や高品質なサポートを提供するには、デジタル技術が欠かせません。
顧客のデータをExcelで管理していたり、注文書や請求書などを紙で管理していたりと、従来のやり方から変化していない部分も多いでしょう。しかし、企業として優位性を高めていくためには、新たなビジネスモデルへ移行する必要があります。
まずは、社内業務やシステムの見直しを行い、クラウド管理やAIなどの自動化につなげる環境にする必要があります。
マーケティングに活用できていない
顧客情報や問い合わせ、クレームなどの情報を共有、一元管理ができていないことで、顧客のニーズを把握できずにマーケティングに活用できていないことがあります。
顧客のニーズや要望を把握できていなければ、顧客の獲得やリピートにつながらず、企業の優位性を高めることができなくなってしまいます。
アフターサービスが重要な理由
なぜアフターサービスが重要なのか、ここでは5つの観点からアフターサービスの重要性を解説します。
顧客満足度を向上させるため
収益化を図るうえでは、顧客満足度の向上は欠かせません。顧客満足度向上のためには、アフターサービスを充実させる必要があります。
問い合わせや修理での対応を充実させることで、不安を解消できるだけでなく、故障や不具合が起きても企業に対する安心感や信頼につながります。
アフターサービスに不安がなければ、顧客はまた購入してみようという後押しだけでなく、関連商品の購入意欲にもつながるでしょう。商品や企業の価値が高まれば、次の新規顧客の獲得も期待できます。
顧客との信頼関係を構築するため
顧客との信頼関係は、アフターサービスにおいても非常に重要な役割を担っています。継続して信頼関係を構築するためには、質の高いアフターサービスという付加価値を提供する必要があります。
質の高いアフターサービスを提供すると、顧客からの信頼感が高まり、一般顧客からリピーター顧客、優良顧客へ変えることも可能でしょう。
顧客とのコミュニケーションを構築することで、さまざまな相談や要望からニーズを聞き出せるようになり、フィードバックを商品開発に活かすことで、企業の優位性も高められるでしょう。
安定的な売上確保につなげるため
商品やサービスに付加価値となるアフターサービスを充実させることで、安定的な売上確保につなげられるでしょう。
アフターサービスの充実は、市場競争で優位に立てるだけでなく、付加価値に魅力を感じた顧客による商品やサービスの購入・利用につながります。
リピート購入や定期購入につながれば、安定的な売上確保や収益の拡大にもつながります。付加価値は、市場競争で企業の優位性を高める手段でもあります。
他社との差別化を図るため
高品質かつ低価格は重要な要素でもありますが、それだけを販売していては生き残れなくなってきています。アフターサービスを充実させることで、付加価値が生まれ、他社への差別化ができるようになります。
商品自体や価格の違いがなければ、顧客はアフターサービスが充実している方を選ぶでしょう。新商品の開発や新機能の追加などが難しい場合は、アフターサポートを充実させるだけでも独自性をアピールできます。
自社商品・サービスを改善するため
自社商品をよりよいものにしていくためには、顧客からのフィードバックは欠かせません。顧客との信頼関係が構築できれば、自社の商品やサービスのフィードバックを受けられ、商品やサービスの改善に役立てられます。
サポートなどのアフターサービスが充実していれば、要望やクレームにも即座に対応ができ、顧客のリアルな声を商品に反映させることもできます。
アフターサービスの成功例
ここでは、企業のアフターサービス成功事例を紹介します。高品質なアフターサービスを提供することで、顧客の満足度向上を実現していますので、ぜひ参考にしてみてください。
レクサス
レクサスは、アフターサービスとして「レクサストータルケア」を実施しています。専任コミュニケーターによって、24時間365日さまざまなトラブル対応やサービスを受けられます。
事故などの衝撃が車体に加わった際には、自動的にオペレーターへつながり、応答がない場合は即座に緊急車両の手配をしてくれます。
緊急時のサポート以外にも、お問い合わせや相談サービス、ホテルやレストランの予約サービス、目的地設定や駐車場案内のサービスを展開しています。車を運転しているときのみならず、車から離れているときでも、安心と満足につながる顧客サービスを受けられるでしょう。
ブラザー工業
ブラザーは、アフターサービスの維持と在庫管理部門の効率化を目指すべく、シンクロン社のクラウド保守部品在庫管理「Syncron Inventory」を採用しました。
このクラウドの導入によって、保守部品の在庫管理をシステム化し、過剰や陳腐している在庫を削減しながら、必要な部品を迅速に供給できる体制を構築しています。
また、個人や小規模事業者に向けた修理工数の削減を進めており、オラクル社のECMパッケージソフトを基盤に、アビームコンサルティング社と共同開発した、修理情報共有システムの「データバンク3」も活用をしています。
修理担当者のノウハウを蓄積し、最適な修理手順を提示可能なデータバンク3の導入によって効率化を図ることで、約1〜2割の修理工数削減効果があるとしています。
クボタ
クボタはアフターサービスとして「クボタスマートアグリシステム(KSAS)」をWebサイトやアプリで展開しています。
販売した農機具の各種消耗部品の交換時期や、定期点検の情報、日常的なセルフメンテナンスを確認できる「My農機」を提供しています。また、農機具のメンテナンスだけでなく、農作業の効率化の方法や、農作物をよりおいしく作るための情報案内も特色です。
パタゴニア
パタゴニアは、アウトドア用品を扱うメーカーです。アフターサービスは、注文内容の変更やキャンセルはもちろん、返品交換やリサイクル回収、お手入れや修理などを展開しています。
修理サービスでは、パタゴニア アカウントがあれば簡単に修理依頼も可能で、修理料金が20%OFFになるサービスもしています。
また、電話やチャットで製品などに関する質問も受け付けており、製品購入前の相談にも対応することで購入意欲の向上につなげています。
ACE
ACEは、旅行かばんやスーツケース、ビジネスバッグのメーカーです。アフターサービスでは、創業80年のかばん作りを活かして職人によるリペアセンターを展開し、ひとつひとつ丁寧に対応しています。スマホで簡単な修理見積りも行えます。
また、スーツケースやキャリーケースのレンタルサービスや、定期的なファミリーセールを実施し、顧客満足度向上につなげています。
日経新聞
日経新聞は、メールやチャット等のコールセンター業務とWebサイト上のFAQが統一されていない問題を抱えていましたが、オラクル社と連携し、顧客対応システムを統合しました。
顧客情報やFAQの質を効率化させ、コールセンターと統合することで、問い合わせ対応の半減を実現し、顧客満足度の向上だけでなく、人件費の削減につなげています。
アフターサービスの類語
アフターサービスの類語として「アフターフォロー」「アフターケア」「アフターマーケット」があります。
なかには、同じ意味合いで使われる言葉もありますが、それぞれ特徴があるので、商品の販売後に提供するサービスとして理解しておきましょう。
アフターフォロー
アフターフォローとは販売後のフォローのことで、商品やサービスを購入したあとに、問い合わせや相談を受けるサービスです。アフターサービスとほぼ同じ意味で使われることもあります。
商品の購入であれば、修理などの保守サービスがあり、修理の場合は、故障部品の交換になりますが、場合によっては新品への交換を行うこともあります。1年間の無料保証のほかに、延長サービスを実施する企業もあります。
商品でない入会サービスなどは、利用後にDMやメール、電話などで、その後の状況をうかがうなどのフォローがあります。
アフターケア
アフターケアは、アフターサービスやアフターフォローよりも、さらに積極的な顧客対応になります。商品購入後も顧客の質問に対応するなど、顧客との距離を縮めて自社のイメージアップを図り、顧客増加を狙う方法です。
医療分野に多い手法で、手術後や病気後の回復期の患者に対し、術後の経過確認や管理、リハビリテーションなどのケアサポートがあります。
アフターケアは業種で異なりますが、サポートを充実させることで、顧客満足度の向上を目的としています。
アフターマーケット
アフターマーケットは、商品販売後に発生する消耗品や交換品のサービスです。従来は産業用、業務用器機向けが中心でしたが、近年は家庭用向けのサービスにも拡大しています。
アフターマーケットの導入企業は、自動車分野が大きく占めています。部品やカー用品などの部品・用品事業、車両整備、保険やロードサービスなどのサービス事業があります。
近年は新たなニーズとして、レンタカーやカーシェアリングの推進が進められているため、賃貸整備需要がさらに高まっていくでしょう。
加えて、脱炭素化からEV車などの電気自動車が登場し、パーツや部品へのニーズも高まり、パーツや部品の輸出需要も高まっています。
脱炭素とは何か、また、DXとの関連性はどのようなものか、こちらで解説しています。
まとめ
アフターサービスを充実させることによって、顧客満足度が向上し、安定的な収益につながります。さらに、付加価値が生まれることで、他社との差別化が図れます。
アフターサービスの課題は、社内で情報が共有されない、システムが統一されないなど、情報の一元管理ができていないことです。システムの効率化ができないということは、マーケティングにも活用できず、収益化にもつながりません。
収益化につなげていくためには、課題を明確にし、効率化に向けてITを活用したデジタル技術に取り組む必要があります。
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