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マニュアルの種類一覧!各マニュアルにはどんな特徴がある?

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マニュアルとは、業務の手順やルールを説明する文書であり、ビジネスや企業において非常に重要な役割を持っています。この記事では、マニュアルの種類から各マニュアルの特徴まで、くわしく解説していきます。

また、マニュアルが必要な理由やメリット、マニュアルを有効活用している企業まで紹介します。今後、自社でマニュアルを作成する方や、どのように作成すればよいかお悩みの方は、ぜひお役立てください。

マニュアルとは

マニュアルとは、特定のタスクや作業を効率的かつ正確に行うため、手順やルールをまとめた文書です。マニュアルがあれば、ミスの予防や業務を効率化できるだけでなく、だれでも一定の成果を出すことができます。

たとえば、家電製品の取扱説明書は、正しい使用方法や安全に関する注意事項を伝えるために重要です。また、新入社員向けの研修マニュアルは、業務の進め方や会社の規則を理解するために役立つでしょう。

このように、マニュアルは、さまざまな状況で効果的な指導やサポートをするための重要なツールといえるのです。

マニュアルは複数の種類がある

マニュアルはビジネスにおいて、さまざまな目的に役立ちます。ここでは、一般的なマニュアルの種類を紹介します。

マニュアルの種類 特徴 具体例 メリット
業務マニュアル 業務の手順やルールの説明 受注・発注、在庫管理、売上管理、経理処理、人事・労務管理など 業務の標準化や改善、新人教育の効率化
システムマニュアル システムの操作方法を説明 PCの操作方法、業務システムの操作方法、ネットの接続方法など 業務の効率化やトラブルの回避
ユーザーマニュアル 製品の使用方法を説明 家電製品や機械、ソフトウェアなど 顧客満足度の向上
取扱説明書 製品の使用方法や注意事項を説明 薬の使用方法や危険物の取扱方法など 安全性や信頼性の向上
作業手順書 特定の作業における手順を説明 機械のメンテナンス手順、製品の組み立て手順など 安全性や信頼性の向上

マニュアルは、それぞれの目的に応じて内容や形式が異なります。共通点としては、効率的かつ正確な作業や業務をサポートしていることです。マニュアルは安全や品質の確保など、さまざまな分野で活用されています。

マニュアルと手順書などの違い

マニュアルや手順書を初めとした文書は、ビジネスにおいて非常に重要な役割を果たします。これらは、業務に関わる作業手順、企業ルール、製品やシステムの使用方法などを説明するために使われます。

しかし、それぞれの文書は規模や内容によって違いがあります。ここでは、マニュアルとその他文書の違いを見てきましょう。

 マニュアル
広範囲の業務手順や社内ルールなどを包括的にまとめたもの
具体例:業務マニュアル・システムマニュアル・製品マニュアルなど

 手順書
特定の作業における手順を詳細に説明したもの
具体例:作業手順書・手順設計書など

 ハンドブック
特定のテーマに関する情報やガイドラインをまとめたもの
具体例:会社の方針や規則・製品の仕様・サービスの提供方法など

以上のように、マニュアルと手順書などの文書は、対象となる内容や規模に応じて説明する範囲が異なります。結論として、それぞれの場面にあった文書の使い分けが大切です。

マニュアルが必要な業務と不必要な業務の違いとは

マニュアルが必要な業務と不必要な業務は、業務の複雑さや重要度によって異なります。たとえば、習熟に時間がかかる業務、または顧客満足度に直結する業務は、マニュアルが必要です。

一方で、簡単な業務、顧客満足度やブランドイメージに直結しない業務は、マニュアルの重要度は低くなります。ここでは、マニュアルが必要な業務と不必要な業務の違いを解説します。

マニュアルが必要な業務とは

マニュアルが必要とされる業務は、顧客満足度に直結する仕事です。自分自身の裁量で行動してしまうと、顧客からのクレームや企業イメージを落とす可能性があるからです。

具体例として、洋服などを扱うアパレル業界を見てみましょう。販売員は店舗の顔となり、顧客満足度を高めるために、質の高いサービスが求められます。

そのため、マニュアルを作成することで、商品の知識や接客マナーを理解することができ、顧客に対して高品質なサービスを提供できるようになります。

以上のことから、顧客満足度に直結する業種の場合は、従業員のクオリティを一定に保つためにもマニュアルの導入は必須といえるでしょう。

マニュアルが不必要な業務とは

マニュアルが不要な業務とは、簡単な作業や習熟時間が早い業務です。理由としては、手順やルールが単純で早期に習熟できるからです。

たとえば、清掃業界では業務の手順を把握するために、入社後すぐに研修やトレーニングが行われます。研修やトレーニングを通じて手順やルールを習得できるため、マニュアルが不要とされています。

そのため、手順やルールが単純であり、業務の標準化が不要な業務では、マニュアル作成は必要ないでしょう。

マニュアルを作成する6つのメリット

マニュアル作成は、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、6つのメリットを紹介していきます。

メリット1|属人化にならない

属人化とは、個々の従業員にしかできない仕事が発生し、従業員の異動や退職によって業務が滞ることを指します。とくに、従業員が情報を個人的に管理している場合、情報の重要度によっては業務に大きな遅れがでるかも知れません。

このような属人化の対策として、マニュアルを作成することで、業務の手順やルールを統一し、業務の標準化が実現できます。

具体例として、物流業のマニュアルを紹介します。

 輸送ルートのマニュアル
輸送手段・輸送ルートの選定・安全運転に関する注意事項など

 配達マニュアル
配達方法・顧客情報・商品事故や労災事故防止に関する注意事項など

以上のように、マニュアルがあれば属人化にならず、業務の停滞も防ぐことができます。マニュアルは業務の安定化につながる有効なツールであり、積極的な活用が大切です。

メリット2|新人教育がスムーズに行える

マニュアル作成のメリットは、新人教育がスムーズに行える点です。マニュアルがあれば、新入社員が業務の流れを効率的に理解でき、教育期間の短縮につながるからです。

たとえば、接客業においては、接客マナー・商品の説明方法・商品の受け渡し方などがあげられます。これらの業務は、マニュアルがあることで基礎的な知識をしっかりと理解できます。また、教育期間も短縮され、新人社員は早期に実務に取り組めるでしょう。

結論として、マニュアルは新人教育をするうえで、非常に重要なツールといえます。マニュアルがあれば、新入社員が早い段階で戦力として力を発揮してくれます。新入社員の生産性向上は、収益につながるため、企業にとって大きなメリットとなるのです。

メリット3|業務の効率化ができる

マニュアル作成のメリットは、業務の効率化ができる点です。マニュアルを活用することで、従業員が業務を統一的に理解できるでしょう。

具体例として、ホテル業界では以下のようなマニュアルがあります。

 フロント業務マニュアル
チェックイン・アウトの手順・客室の案内方法・クレーム対応の方法など

 ハウスキーピングマニュアル
客室清掃の手順・消耗品の補充方法・清掃用具の取り扱い方法など

以上のように、ホテル業界においては、業務の効率化のためにマニュアル作成が欠かせません。マニュアルを活用することで、従業員の業務効率化やサービスの向上が期待できます。

メリット4|顧客満足度向上が期待できる

マニュアルを作成すると、顧客満足度向上が期待できます。マニュアルは、サービスの質を均一に保ち、顧客のニーズに合わせたサービス提供に役立つためです。

たとえば、多くのラーメン店では以下のマニュアルを採用しています。

 調理マニュアル
麺の茹で方・スープの濃さ・味の濃さ・トッピングの盛り付け方など

 サービスマニュアル
注文の受け方・提供の仕方など

以上のように、マニュアルを活用することでラーメン店のサービスが同一になり、顧客の期待に応えることができます。その結果、顧客満足だけでなく、リピーターの獲得も可能になるでしょう。

メリット5|トラブルの回避に役立つ

マニュアル作成をすれば、トラブルの回避に役立ちます。マニュアルがあることで、業務ミスやトラブルの発生を未然に防げるからです。

具体例として、電話オペレーターの業務では以下のマニュアルがあげられます。

 電話応対マニュアル
電話の受け方・話し方・メモの取り方・切り方など

 クレーム対応マニュアル
クレームの受け方・調査方法・対応方法など

上記のように、業務マニュアルが事前に準備されていれば、電話オペレーターでも顧客とのトラブルを回避できるでしょう。トラブルを未然に回避できれば、企業の信頼性やブランドイメージも崩れることがありません。

メリット6|コスト削減

コスト削減には、マニュアル作成が有効な手段です。マニュアルがあることで、新入社員の教育期間短縮が見込めるため、人件費の削減につながります。

具体例として、建築業界においては、以下のようなマニュアルがあります。

 建築手順マニュアル
建築の工程や材料の選定方法・安全対策など

 作業マニュアル
作業中の安全対策・安全装置の取り付け方法など

このように、マニュアルがあれば、建築現場での作業効率化や作業の品質向上が期待できます。コスト削減や収益の向上につながるため、マニュアルの正しい運用は、コスト削減に有効な手段といえるでしょう。

最後に、マニュアル作成には、コストや時間がかかるというデメリットもあります。しかし、効果的に活用することで、そのデメリットを上回るメリットが得られるでしょう。マニュアル作成には、社員の協力や専門知識が必要ですが、将来的には大きな成果につながります。

マニュアルを上手く作成する3つのコツ

マニュアルを上手く作成するためには、3つのコツを意識するとわかりやすい文書になります。ひとつずつ解説していきます。

1. 読みやすく分かりやすい文章を書く

マニュアルを上手に作成するには、以下のポイントを押さえることが大切です。
ポイント 説明
簡潔にまとめる 読み手を意識して、分かりやすい文章を書く
用語を統一する 同じ意味を持つ言葉に揺れがないよう、用語を統一する
見出しを使って構成する 見出しを使うことで、読み手が必要な情報にアクセスしやすくなる
図や表を活用する 文章だけでは伝えきれない情報は図や表を活用する
詳細な手順を記載する 詳細な手順を記載することで、作業上で必要な情報が得られる

上記のポイントを意識してマニュアルを作成すれば、読み手が迷うことなく作業を進められます。マニュアルを作成する際は、上記のポイントを参考にするとよいでしょう。

マニュアルに目次や見出しが必要な理由について、こちらの解説記事もご覧ください。

2. マニュアルの更新を定期的に行う

マニュアルの更新を定期的に行う理由は、業務の変更や改善に対応するためです。業務に変更があった場合、古いマニュアルでは従業員が作業を行えないからです。

たとえば、セキュリティマニュアルや安全マニュアルは日々変化していくため、定期的な更新が必要です。また、業務内容によっては、年に数回の更新が必要な場合もあります。定期的にマニュアルを更新することで、業務の安定化や品質向上につながるでしょう。

3. フィードバックを取り入れる

フィードバックを取り入れることは、マニュアル作成において重要なポイントのひとつです。フィードバックを取り入れることで、従業員がマニュアルについての意見や提案を行うことができ、改善につながります。

たとえば、人事部の業務マニュアルでは、従業員から以下のフィードバックが見込めます。

 採用マニュアルの改善
採用面接の手順や選考基準について、現場責任者の意見を取り入れることで、採用活動の効率化が図れます。

 研修マニュアルの改善
研修内容や研修方法について、新入社員の意見を取り入れることで、研修の質の向上が期待できます。

 評価マニュアルの改善

評価基準や評価方法について、評価者の意見を取り入れることで、評価の公正性や透明性が向上します。

以上のように、人事マニュアルにおいても、フィードバックを取り入れることが必要です。従業員の意見を取り入れることで、マニュアルの質が向上し、従業員のモチベーション向上が期待できるでしょう。

マニュアル作成の変化|文書から動画へ

近年、マニュアル作成の形式は、文書から動画へと変化しています。その理由は、作業手順や説明が分かりやすくなり、読み手の理解度が高まるからです。

具体的には、飲食店や美容系ビジネスなど、手順の動画マニュアルが増えています。たとえば、都内に複数の店舗を出店している美容室では、カットやカラーの手順を動画解説することで、従業員への理解度を高めています。

また、飲食店では、接客マニュアルを動画にすることで、接客マナーが習得しやすくなります。

以上のように、動画を利用したマニュアル作成は、分かりやすさや興味を引きつける力があるため、今後ますます需要が高まっていくでしょう。

マニュアルを効果的に活用している企業

マニュアルを効果的に活用している企業として、以下の2社があげられます。それぞれの活用事例を解説していきます。

1.トヨタ自動車

トヨタ自動車は、自動車業界のリーディングカンパニーとして、世界中の自動車メーカーのなかでもとくに高い評価を受けています。その理由のひとつが、同社が長年にわたり積み重ねてきた「トヨタ生産方式」です。

トヨタ生産方式の中心となるのが「ジャストインタイム」と「カイゼン」です。

 ジャストインタイムとは

必要なものを必要なときに必要なだけ生産することで、在庫を最小限に抑え、生産性を高める手法です。

 カイゼンとは

現場の従業員が日々の業務において改善点を見つけ、その改善を実施することで、生産性を向上させる手法です。

以上のように、トヨタ自動車はマニュアルの効果的な活用により、製造工程の標準化や改善を実現しています。これにより、世界中の自動車メーカーのなかでもトップクラスの評価を得ています。

2.ソニー

ソニーはマニュアルの効果的な活用により、顧客満足度の向上を実現しています。たとえば、ソニーのテレビ製品には、取扱説明書やクイックスタートガイドなど、さまざまなマニュアルがあります。

また、ソニーは技術革新を追求しており、音声認識技術を活用したマニュアルの提供を開始しました。このマニュアルは、テレビの操作方法を音声で説明することで、より分かりやすく、手軽に操作方法を覚えることができます。

今後もソニーはマニュアルを上手に活用しながら、顧客にとってよりよいサービスの提供が期待されているのです。

まとめ

今回は、マニュアルの種類と特徴について解説してきました。企業が成長していくには、人材の育成が必須です。人材をいかに早く育成するかが課題になるなかで、マニュアルがあれば、人材の早期育成も実現ができます。

また、属人化を防いだり、顧客満足度の向上が期待できたりと、企業にとってマニュアルの存在は決して小さなものではありません。

以上のことから、マニュアル作成は業務の効率化や品質向上につながる、非常に重要な業務のひとつといえます。