近年、さまざまなシーンでDXという言葉を目にすることが多いのではないでしょうか。
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略語で、簡単に言えばデジタル技術を用いてビジネスやサービスを変革することを意味しています。
しかし、なんとなく意味は分かっているけれど、実際どうしたらいいか分からないという方も少なくないでしょう。
本記事では、そんなお悩みをお持ちの方に向けて、DXについての具体的な進め方から失敗例、成功させるポイントまでを詳しく解説していきます。
これからDXを導入したいと考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
DXの進め方|具体的なステップ
「2025年の崖」問題をはじめ、どのような業種においても先を読んでビジネスを展開することの重要性が高まっています。
とくに、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、多くの業種で先行き不透明感が浮き彫りになりました。
そんな社会情勢の変化が著しい現代社会で生き残っていくためには、生産性の向上や付加価値の創出が不可欠であり、そのためにはDXが大きな手助けとなるでしょう。
DXを推進するためには、いくつかのポイントを抑えておくことが成功のカギとなります。
ここでは、DXを推進するうえでの重要なポイントを解説します。
ステップ1:目指すゴールを決めて社内で共有する
DXを推進するうえで、目指すゴールを決めておくことが大切です。
DXに限らず、どのようなことにおいても、目的地が決まっていなければ、どこに向かって走ればよいのか分かりません。
従って、DXを推進する際には、まずDXを進めることで達成したいビジョンを明確に定めましょう。
さらに、DXは会社が一丸となって取り組むことが成功への近道です。
経営層や推進部門だけでなく、現場の社員にも協力してもらうことが大切です。
ステップ2:改善したい問題点を洗い出す
DXの推進によって達成したいビジョンが明確に定まったら、自社にどのような問題があるのか調査を行いましょう。
3C分析、PEST分析、SWOT分析などのフレームワークを用いながら、自社の問題点を明らかにしていきます。
ステップ3:データを収集・分析する
自社の問題点が明らかになったら、DXを推進するうえで必要なデータを収集し、分析しましょう。
具体的には、自社のリソースの整理、他社のDX導入事例の調査、顧客のニーズの深掘りなどの調査を行います。
自社のリソースの整理とは、自社の持つ技術、所属している人材、使っているシステム、データなどの整理をすることです。
たとえば、DXを進めるうえで活用できるデータや不足しているデータはあるのか、DXを推進できるデジタルに強い人材は在籍しているのか、DXを推進するうえで関連しているシステムにアクセスできる人は誰なのか、といった情報を精査します。
さらに、DXは長期間の取り組みであり、導入のハードルが高く、失敗してしまう可能性も否定できません。
そのため、既にDX導入を試みている他社の情報を知り、同じ轍を踏まないようにすることが、DX推進成功への近道となります。
失敗事例だけでなく、他社の成功事例を知って取り入れていくことで、DXの成功率を高められるでしょう。また、DXを導入したとして、顧客のニーズを満たせる価値を創出できなければ意味がありません。
DX推進にあたっては、顧客へのインタビューやアンケート、行動観察などにより、顕在ニーズや潜在ニーズの深掘りが大切です。
ステップ4:システムを導入して業務の効率化を図る
実際にDXの導入を進めていきますが、DXの推進は、長期間にわたる全社的な大規模プロジェクトです。
そのため、いきなり全体にDXを導入すると失敗の可能性が高まります。
無理な導入による失敗を避けるためにも、まずは小さな部分から行いましょう。
たとえば、今まで手書きで記載していたものをデジタル化する、個別の業務や製造プロセスをデジタル化するといった、ひとつの部署や事業など小規模な部分から進めていくことをおすすめします。
こうすることで、現場の社員が置いていかれることがなく、DX推進部門と現場との軋轢も生まれにくくなります。
ステップ5:PDCAサイクルを回し常に改善する
小さな部分への導入で成功事例を作ったら、DXを推進していく部署や事業を徐々に広げていきましょう。
成功例が増えることで、社内でのDX推進の機運も高まります。
DXには、多くの時間と多数の人材の巻き込みが必要です。
継続的にPDCAを回して、長期的な視点で行っていきましょう。
DXを進めるうえでよくある失敗例
DXの推進は簡単なプロジェクトではなく、全社一丸となって取り組むことが必要です。
また、少しでも成功確率を上げるためには、すでにDXの導入を推進している他社の失敗事例から学ぶことが重要です。
ここでは、他社においてDX導入が失敗してしまった要因をご紹介します。
経営陣のコミットメントが不足していた
DXの導入には全社的な取り組みが必要不可欠です。
経営層がコミットせず、部下に丸投げしてしまうと、重要な意思決定ができなかったり、連携がうまく取れなかったりして、失敗の可能性が高くなります。
経営層が積極的に、大きな意思決定や全社の巻き込みなどの旗振りを行うことで、DXのスムーズな推進が可能になります。
業務の改善が目的となっていた
DXを推進する最終目的は、ビジネスを変革し、付加価値を創出して顧客への満足度を高めることです。
DXを推進する過程で、業務の効率化や生産性の向上が期待できますが、これらはビジネスモデルを変革し、顧客への提供価値向上を実現するための手段であり、目的ではありません。
手段が目的化してしまわないように、最初にしっかりと明確なロードマップを策定しておく必要があります。
現場の意見を聞き入れすぎていた
DXを推進するうえでは、経営層から現場の社員まで、全社一丸となって取り組むことが大切でしょう。
DXを推進したことによって導入されたシステムを、実際に使うことになるのは現場の社員だからです。
DX推進部門と現場との間で、余計な軋轢を生まないようにするためにも、現場の声を聞くのは重要です。
現場の従業員が困っていること、効率化すると現場の従業員が働きやすくなる部分はどこかを考え、現場目線で進めていきましょう。
とはいえ、現場の社員の意見を聞き入れすぎるのは考えものです。
たとえば、DXを推進することで、いままで紙媒体で行っていたものを、電子上で行う作業もあるでしょう。
社員のなかには、業務のデジタル化になかなか適応できず、DXの推進に反対する人もいるかもしれません。
とはいえ、そういった社員の声を聞いていては、スムーズなDXの推進はできません。
ときには、ある程度強引な判断も必要でしょう。
しかしこの際に大事なのは、デジタル化についていけない人が取り残されないようにすることです。
マニュアルや研修を拡充し、理解と協力を得ていきながら、DXを成功させましょう。
従業員がシステムを使いこなせなかった
アナログ業務が主流だった製造業などにおいては、いきなり業務の電子化などを行うと、従業員がシステムを使いこなせない状況も発生するかもしれません。
こういった場合は、従業員のトレーニングや教育を行って、DX推進チームと従業員のコミュニケーションを密にし、従業員からのフィードバックを取り入れることが大切です。
たとえば、もっとこういうデザインのほうが使いやすい、という声があるならば、UI/UXデザインの改善や、ほかのシステムの導入を検討しましょう。
必要な予算が確保できていなかった
DXは長期的な大規模プロジェクトです。
低予算でできる部分もありますが、DX全体を通して低コストで済ませるというのは難しい場合があり、どこかの部分で一定の予算を確保することが必要です。
こういった部分の意思決定をするためにも、経営層のコミットがあったほうがよいといえるでしょう。
社内一丸となって取り組まなかった
DXは経営陣、DX推進部署、現場が一体となって進めることが大切です。
それにはもちろん、経営陣が積極的にコミットするのが重要でしょう。
また、DX推進部署だけが先行してしまい、現場が置いていかれてしまうと、DX推進部署と現場との間に軋轢が生じやすくなります。
関係各所の必要となる意見をとりまとめ、情報連携することで、スムーズにDXを進められるでしょう。DXを成功させるためのポイント
DXを成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
これらのポイントを押さえておくことで、失敗の可能性を下げ、スムーズにDXの推進を成功させられるでしょう。
段階的に進めていく
DXをすべての業務で一気に進めるのは、難しい部分があります。
とくに、従業員がDXに対して十分な理解を持たず、取り組むことに抵抗を感じる場合もあります。
そのためDXを推進する際には、小さな業務から始めて、徐々に拡大していくアプローチが有効です。
たとえば、ハンコの電子化やペーパーレス化、テレワークの推進など、小さな業務から始めることで、従業員がDXに取り組むうえでのハードルを下げることができます。
そして、こうした小さな業務に取り組むなかで、成功事例を作り出すことができれば、従業員の理解と協力を得られるでしょう。
さらに、成功事例を作り出すことで、次のDX推進に向けて得た知見を活かせます。
成功事例が増えることで、従業員や関係者たちのDXに対する意識が高まり、新たな取り組みを行う意欲増進も期待できます。
現場で働く従業員も明確にメリットを感じられる、小さな技術を採用していくのもよいでしょう。
たとえばスマートグラスによって、作業員と近しい目線の動画をリアルタイム共有することで、管理者が素早く指示を与えられる状況づくりが挙げられます。
新聞でも取り上げられたスマートグラスは、こちらで紹介しています。
手段を目的にすることを避ける
DXを推進する目的は、製造業界において新たな価値を創出し、競争優位性を確立することにあります。
そのために、業務の効率化や生産効率の向上など、様々な手段を用いてデジタル技術を活用し、企業のイノベーションを促進します。
しかし、DXにおいて業務の効率化や生産効率の向上は、あくまで目標実現のための手段のひとつにすぎません。
手段を目的化することで、本来達成すべき目的から逸脱してしまい、最終的には目的達成が阻害されてしまう可能性があります。
DXを推進する際には、常に目的を意識し、手段と目的のバランスを取りながら推進することが重要です。
業務の効率化や生産効率の向上を目的化せず、目的達成に向けた効果的な手段として活用することが求められます。
経営陣が先頭に立って社内をまとめる
DXの推進をするうえでは、さまざまな問題が生じる可能性があります。
たとえば、コストの問題、人材の問題、環境の問題、意思決定の問題などです。
こういった問題の解決には、経営層が先頭に立ち、旗振り役となって社内をまとめていくことが不可欠です。
とくにDXの推進は、一部門だけではなく、全社的に行うものであるため、経営層の積極的なコミットが望まれます。
攻めのDXと守りのDXを意識する
DXには「攻めのDX」と「守りのDX」という2つの方向性があります。
攻めのDXは、新しいビジネスモデルやサービスを創造することを目的として、デジタル技術を活用した変革を進めることです。
いっぽう、守りのDXは、既存のビジネスモデルやサービスを維持しながら、業務プロセスや組織などにデジタル技術を導入することで効率化や生産性向上を図ることです。
両者は異なる取り組みであり、それぞれに適した戦略や手法が必要です。
まず、攻めのDXでは、新しいビジネスモデルやサービスを創造することが目的であるため、既存のビジネスプロセスや、組織文化と異なるアプローチが必要です。
また、新しい技術や市場動向に追いつくためには、常に最新情報を収集し続ける必要があります。
守りのDXでは、既存のビジネスプロセスや組織文化の変革が目的であるため、従来からある業務プロセスやシステムとの整合性を保ちながら進める必要があるでしょう。
これら2つの観点を両立させた戦略、施策の立案が重要です。情報の蓄積と共有を大切にする
DXを推進するうえで、情報の蓄積と共有は非常に重要です。
情報共有を行うことで、ナレッジやノウハウを常にブラッシュアップさせながら蓄積することができます。
また、教育の時間短縮化ができ、生産性が向上することも期待できます。
情報共有不足がもたらす問題やその解決方法について理解し、社内の認識や共有の重要性を統一することも大切でしょう。
まとめ
この記事では、DXの推進を考えている方に向けて、DX推進の流れや成功のポイント、失敗しがちなポイントなどを解説しました。
DXは、長期的に全社一丸となって進めることが必要です。
事前にしっかりとビジョンを明確に決め、調査を行い、現場の声を聞きながら適切な施策を講じていきましょう。
そして、一気に進めるのではなく、まずは小さな業務から導入を進めていくのがおすすめです。
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