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テクニカルライターが解説!取扱説明書制作に必要な校正の基本

コピー

他の印刷物に比べて、不備がなく完璧であることが特に求められる『取扱説明書』。
制作において、校正は欠かせない作業ですが、「時間をかけて校正したはずなのに、後から不備が見つかった」なんてことは経験ありませんでしょうか?

この誤記は、いったいどこから湧いてきたんだ?最初に見たときは絶対になかったぞ?そう思って見返すと、悲しいかな、たいてい最初からあります。
というのは、私の体験でもありますが、制作中の取説、見るたびに新たな間違いに気づき徒労感に襲われる方は多いのではないでしょうか。

実際に取説制作に携わる筆者が、経験をもとに、取説の校正で気を付ける点、特にミスが起こりがちな内容をピックアップし、解説していきます。


校正の基本

時間が足りない! 確認量が多い! など様々な理由で、本来の校正方法から逸脱してしまったときに、見落としが増えてしまうことがあります。
基本と侮るなかれ、まずは、校正の基本的な方法を確認していきましょう。


校正の種類

一言で校正と言っても、確認する内容によって大きく二つに分けられます。
呼び方は様々ですが、ここでは「引き合わせ校正」と「素読み校正」とします。

引き合わせ校正

原稿との一致を確認する校正。原稿との完全一致を確認する場合を「原稿引き合わせ」、朱書き内容が反映されているかを確認する場合を「赤字引き合わせ」と言います。


<Point!>

・引き合わせ校正が終わったら、その原稿はもう見返さない可能性があります。
 つまり、このタイミングで原稿内容の反映ミスに気づかなければ、一生気づかないままかもしれないのです。

・朱書きが訂正されていない!という場合、再度修正指示を書き込むだけでなく、朱書き箇所の周りもチェックしてみるとよいでしょう。意図しない別の箇所が修正されていることもあります。

・(赤字引き合わせ-④)朱書きの確認が終わったら、朱書き以外の箇所が変化していないか確認しましょう。地道な引き合わせ以外にも、あおり校正※1、デジタル検版※2などの効率的な方法があります。

※1あおり校正……修正前と修正後の出力紙を重ね、上の出力紙をパタパタとめくりながら、両者を見比べ変化点を見つけ出す方法

※2デジタル検版……コンピュータのアプリケーションなどを使用して、修正前と修正後のデータから、自動的に変化点を検出する方法(逆に検出されない箇所は変化していないと判断できます)


素読み校正

記載内容を確認する校正。通し読みをしながら内容に不備がないか確認します。

<Point!>

・「内容に不備がないか確認する」という漠然とした目的だからこそ、素読み校正は注意が分散しがちです。チェックする項目を絞って、何度か通覧を繰り返すのをおすすめします。

 例)「見出しの体裁」「本文の体裁」「参照ページ」「図・イラスト」「QRコード」をそれぞれ通覧してチェックした後、頭から通し読みしながら文章の誤り(誤字脱字、表記ゆれ など)を洗い出す。

・さらっと流し読みするのではなく、一字ずつ目で追い、書かれている意味を意識しながら読んでいきましょう。まさに、「目を皿のようにして」!

・頭の中で言葉の音も意識しながら読み上げていくイメージで素読みを進めると、助詞の誤りや、主述のねじれといった日本語の間違いにも気づきやすいです。


紙面が原稿通りに作成されているかは引き合わせ校正でチェックし、原稿内容の誤りや不備は素読み校正で拾い上げます。


校正計画を立てる

引き合わせ校正は修正のたびに行いますが、素読み校正はわざわざ機会を設けないと実施するタイミングを逸してしまうことがあります。どの工程で素読み校正を行うと効果的かを考えながら、最初に校正計画を立てるのもおすすめです。

〈校正計画例〉

  〈新規作成の場合〉〈展開元がある場合〉
序盤原稿作成(原稿の)素読み(展開元への朱書き原稿作成)
初校引き合わせ赤字引き合わせ+素読み
中盤2赤字引き合わせ+素読み赤字引き合わせ
 ~最終校赤字引き合わせ赤字引き合わせ
終盤校了前素読み素読み

※新規作成の場合は素読み校正3回分(序盤、中盤、終盤)、展開元となる文書が存在する場合は素読み校正2回分(序盤、終盤)組み込んだ計画例。


<Point!>

・制作途中に仕様変更などが発生することもありますから、校了前の素読み校正は最後の砦として、確実に実施しましょう。

・ならば、最後に一度だけ素読みをすればこと足りるのではないか? 一度の校正では不備を拾いきれない可能性がありますし、校了前に大量の修正が発生すると大変むさくるしいことになります。時間の許す限り、途中段階で素読み校正の場を設けることをおすすめします。