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業務負担が大きい?企業はどのように偏りをなくして軽減すればよいのか

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近年、さまざまな企業において、人手不足による業務負担が課題となっています。新型コロナウイルスの影響により、リモートワークやオンライン会議などが普及し、これまでの働き方と変わってきている背景のなかで、効率化や生産性を意識する企業も増えているでしょう。

そこで、本記事では業務負担に偏りが出る原因やリスク、業務負担を改善するメリットや方法を解説します。さらに、企業が取り組むべき課題もあわせて紹介します。

業務負担に偏りが出る原因

業務負担に偏りがあると、ひとりの負担が大きくなってしまい、さまざまな問題が発生します。そのため、多くの企業が負担を改善したいと考えるでしょう。とはいえ、負担を改善するためには、まず何が原因かを知るところからはじめなければなりません。

ここでは、業務負担に偏りが出る4つの原因を、それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務内容の専門性が高すぎる

すべての社員が専門的な知識や資格を持っているわけではないので、一部の人材に業務が集中してしまいます。とくに専門的な業務内容の場合、対応できる人材が限られていることがあるでしょう。

また、ほかの社員に仕事を回すことが難しいことから、業務の負担が偏ってしまうことも少なくありません。

社員ひとりのスキルや能力に依存しなければならない業務内容の場合、どうしても一部に集中してしまうことがあります。もちろん、内容が専門性の高いものであれば、致し方ない部分もありますが、業務負担が偏る一因として認識しておいたほうがいいでしょう。

業務が標準化されていない

業務に偏りができる原因のひとつとして、業務そのものが平準化されていない可能性があります。企業によっては、社歴が浅かったり、経験がなかったりする社員も業務を行えるように、仕事の進め方や作業方法がマニュアル化されていることがあります。

しかし、作業マニュアルや研修制度が用意されていないと、スムーズに業務を進められず、結果的に対応できる人が作業を行うことも珍しくありません。そのため、新しい人材を雇用したとしても、根本的な問題を改善することは難しいでしょう。

もちろん、単にマニュアルが用意されていれば問題ないわけではありません。というのも、マニュアルがあったとしても、業務内容そのものの専門性が高ければ、作業を実行することが難しく、結果的にできる人しか対応しなくなってしまうのです。

つまり、業務を平準化するということは、単にマニュアルをつくるのではなく、だれでもできる体制を整えるということです。

管理が行き届いていない

多くの社員がいると、それぞれの業務量を正確に把握できず、適切なボリュームの仕事を振り分けるのが難しい場合があります。

また、負担が大きい社員が、ほかの社員に仕事を振りたいと考えていても、引継ぎの時間すら確保できず、結果的に自分で対応することも珍しくないでしょう。

根本的な原因は、社員それぞれがどれくらいの仕事量を抱えていて、業務遂行のためにどれくらいの時間がかかるのか、しっかりと把握、管理できていないところにあります。

仕事を奪われる恐怖心がある

社員の管理が行き届いていたとしても、社員自らがほかの社員に仕事を渡さないことも少なくありません。というのも、自分の仕事をほかの社員に渡すことで「仕事を奪われてしまうかもしれない」といった恐怖心が芽生えることがあるのです。

なかには、自分の仕事を最後まで責任を持って終わらせるという気持ちを持っている方もいます。しかし、一方で仕事を奪われるリスクを恐れて、業務をかかえこんでしまうことも少なくありません。

業務負担に偏りがあることで生じるリスク

業務の負担が一部の人材に偏る背景には、いくつかの原因が隠れています。では、そもそも業務負担が偏ることで、どういったリスクがあるのでしょうか。

ここでは、業務負担の偏りの影響で、どのようなリスクが発生するのか、詳しく見ていきましょう。

優秀な社員が退職する恐れ

専門的な知識や技術を持っている社員や、仕事が早い社員に業務が偏ってしまうことがありますが、大きな負担をかかえてしまうことになり、最終的には会社を辞めてしまう可能性があります。

とくに、昨今は働き方改革により、残業時間を抑えたり、休日出勤をなくしたりなど、仕事とプライベートのバランスが注目されています。

ワークライフバランスを重視した働き方が求められているなか、一部の負担だけが増えると、よりよい処遇を求めて、ほかの会社に転職されてしまう可能性があります。

昨今は働き方改革により、転職することが当たり前の時代になってきました。少しでも待遇や、労働環境がよいところで働きたいと思う人が増えており、人材確保が難しいともいえます。

もちろん、自社の労働環境や待遇に問題がなければ、社員が定着し、人材流出のリスクは減るでしょう。しかし、業務負担といった根本的な問題を解決しなければ、いくら優秀な人材を雇用したとしても、すぐに退職されてしまい、人材不足に悩まされる可能性があります。

全体業務が停滞する恐れ

職種や業種、仕事内容によるものの、チームで業務を遂行する場合、業務負担が大きいひとりの社員の影響で、業務の流れが滞り、全体の業務が止まってしまう恐れがあります。

もちろん、チーム全体で支えながら業務を遂行できればよいのですが、専門的な業務の場合、対応できる人材がおらず、対処が難しいこともあるでしょう。

そのため、ひとりの業務負担が増えることで、チーム内や社内の業務が滞ってしまうことを理解しておかなければなりません。

ブラックボックス化する恐れ

業務の負担が一部に偏ることで、ブラックボックス化を引き起こす可能性があります。ブラックボックス化とは、業務の進行状況や流れがわからなくなることであり、実際に業務を対応している人しか作業できない状況のことをいいます。

限られた人しか業務を遂行できない構造になっているので、仮に作業対応者が病気や有休などで仕事を休んだとき、ほかの社員が代わりに作業できません。

本来であれば、社内全体でサポートしながら業務を行うのが理想です。しかし、ブラックボックス化してしまうと、対応できる社員が限られてしまうので、その社員が休んでしまうと、作業が止まってしまうリスクが発生します。

取引先の信用を失う恐れ

業務負担過多により、想定よりも業務が進まず、遅延などが発生すると、取引先からの信用を失う恐れがあります。どれだけ優れた能力を持っている人材でも、キャパシティを超えると業務の管理が難しく、確認漏れや抜けが出てしまうことがあります。

しっかりとスケジュール管理していたつもりであっても、業務負担が多すぎることから、手が回らなくなってしまって遅延が発生することがあるでしょう。

そして、結果的に取引先からの信用を失うことにつながりかねません。遅延の発生原因がひとりの社員であったとしても、業務過多によって手が回らなくなり、対応できなかったり、対応が遅れてしまったりすることがあるでしょう。

本来であれば、チームや会社全体でサポートすることが大切ですが、一部に仕事が集まっていたり、ほかの社員が対応できなかったりすると、結果的に取引先の信用を失うケースもあるので注意が必要です。

業務負担の偏りをなくすメリット

業務負担は、社内に大きな問題を引き起こすことに加え、取引先との信頼関係にも影響する恐れがあります。そのため、できるだけ早く業務負担を改善するのが好ましいでしょう。

ここでは、業務負担の偏りをなくす5つのメリットを見ていきましょう。

属人化を解消できる

業務負担の問題点でもある属人化を解消できるのが、業務負担の偏りをなくすメリットのひとつです。先述のとおり、業務の流れや進捗具合が見えないということは、対応できる社員が限られているということです。

つまり、仕事が会社についているのではなく、ひとりの社員についてしまっている状況こそが「属人化」なのです。ただ、業務負担の偏りがなくなれば属人化を解消できるので、対応できる社員が不在であっても円滑に業務を遂行できるでしょう。

社員の離職率を改善できる

一部の社員に業務負担が集中すると、社員のパフォーマンスが落ちることに加え、ワークライフバランスが取れないことで、ほかの会社に転職される可能性があります。

しかし、業務負担の偏りを改善し、業務を平準化すれば、無理な残業や休日出勤を行わずに済みます。結果的に労働環境への不満を抑えられ、離職率を改善できる可能性があるでしょう。

社員が新しい業務に挑戦しやすくなる

専門性が高い業務は、経験者や有資格者に仕事が集中してしまい、一部の社員の業務負担が大きくなります。ただ、しっかりとマニュアル化を行い、ほかの社員も業務に取り掛かりやすい環境をつくれば、新しい業務に挑戦しやすくなります。

新しい業務に挑戦することで、社員全体のスキルを向上できることに加え、仕事に対するモチベーションアップにつながる可能性もあるでしょう。

コストの無駄を削減できる

業務負担に偏りがあると、ひとりの社員の作業効率が悪くなってしまい、無駄なコストがかかることになります。残業や休日出勤が常態化すれば、人件費が上がることに加え、光熱費やオフィス維持費の支出増加にもつながります。

業務負担の偏りをなくせば、社員全体の効率化を目指すことができ、無駄な残業や休日出勤を抑えられ、経費削減を実現できるでしょう。

働き方改革につながる

会社経営において、優秀な人材を確保することは重要です。とくに、働き方改革によって、ワークライフバランスという理念に基づいた働き方が注目されており、業務改善が急務となっています。

一部の社員に業務負担が集中していると、離職へとつながり、優秀な人材の流出につながりかねません。しかし、社員の働きやすさを重視し、多様な働き方や制度を取り込むことで、社内の労働環境が改善されて、優秀な人材を確保しやすくなります。

そして、社員ひとりひとりの生産性を向上させ、フレックスタイム制やリモートワークなどを採り入れることで、新しい時代の働き方に対応できるでしょう。

業務負担の偏りをなくして軽減する方法

業務負担の偏りを改善することが、企業経営における重要な課題といえます。ただ、具体的にどういった対策を取ればよいのか、わからない方もいるでしょう。

ここでは、業務負担の偏りをなくすための4つの対処法を解説します。

マニュアルを作成する

業務負担を改善するには、業務の平準化を目指す必要があり、具体的にはマニュアルを作成しなければなりません。わかりやすいマニュアルを作成しておけば、マニュアルに沿って業務を進められるので、経験がない社員や知識がない社員でも作業を行えるでしょう。

なお、マニュアルのほかに、フローチャートを作成しておくと、どういった流れで作業を行えばよいのかが可視化され、未経験の社員でも仕事を進めやすくなります。

業務配分表を作成する

業務配分表とは、どの社員がどれだけの業務量をかかえているのかがわかるチャートのことをいいます。それぞれの業務量を社員全員が把握できることに加え、進捗状況を確認できるので、プロジェクトの遅延が発生しにくくなるでしょう。

ツールを導入する

昨今は、業務改善を目的としたツールがあるので、ツールを活用することで、業務負担の改善を目指せます。とはいえ、業務改善ツールには、さまざまな種類があり、どういったものを選べばよいかわからない方が多いでしょう。

たとえば、マニュアルを作成したいときは、マニュアルの自動作成ツールを活用するのがおすすめです。そのほか、それぞれの社員の業務量や進捗状況を確認するための、業務配分表をクラウドで利用できるツールもあります。

さまざまなツールがあるので、それぞれの課題や問題点に合わせて選びましょう。

PDCAサイクルを回す

マニュアルを作成したり、業務配分表を活用したりすれば、自動的に業務負担の偏りが改善されるわけではありません。しっかりと成果を出すためには、PDCAサイクルを回し、随時アップデートしていくことが大切です。

問題点が見つかれば、どういった問題なのかをしっかり分析し、どういう対策が取れるかを熟考したうえで、改善していきましょう。

なお、マニュアル作成やツールの活用を実施してみたものの、効果が出なかった場合は、別の方法を考えなければなりません。ただ、PDCAサイクルを回さなければ、そもそも効果が出ているかどうかの判断が遅くなってしまいます。

問題や課題に早く気づくためにも対策したら終わりではなく、しっかりとPDCAサイクルに沿って改善を図りましょう。

業務負担を改善するための手順

業務負担を改善する対処法を理解できたものの、手順がわからない方もいるでしょう。ここでは、業務負担を改善するための具体的な手順を紹介します。

まず、業務負担を改善するにあたり、業務を可視化することが大切です。だれが、どういった業務を、どれくらいしているのかを明確にし、社内で共有しましょう。

業務を可視化すれば、無駄な工程や負担の偏りが浮き彫りになり、何から手をつければよいかを判断しやすくなります。そして、問題や課題を洗い出し、改善する箇所の優先順位を決めましょう。

優先順位を決めたら、PDCAサイクルを回しながら、ひとつずつ改善を図ることが大切です。なお、改善計画の途中で、新たな問題点が発生した場合は、問題の原因を分析し、ほかの対策を考えましょう。

企業が取り組むべきこととは

業務負担の偏りは、会社経営において早急に改善しなければならない課題です。もちろん、業務負担の改善のみならず、SDGsやDX、Society5.0といった昨今注目を集めているキーワードも追っていかなければならないでしょう。

ここでは「SDGs」「DX」「Society5.0」の意味や、特徴を具体的に解説します。

SDGs

SDGsはSustainable Development Goalsの略であり、2015年9月の国連サミットにて採択された国際目標です。国際社会では、持続可能な社会をベースに、政府や教育機関のみならず、民間企業を含めて、国際問題に取り組むことを期待しています。

SDGsは、17のゴールと169のターゲットから成立しており、環境や人権、社会など、さまざまなジャンルの問題解決を目指しています。

民間企業は営利目的のビジネスをベースにしているものの、国際目標を見据えた取り組みが必要とされており、これからの社会においてSDGsは切っても切れない存在といえるでしょう。

現状、企業が取り組まなければいけないのは環境や人権、社会に配慮した会社経営であり、労働環境の改善はもちろん、環境に配慮した製品開発、人権遵守の社員雇用などが重要な課題といえます。

DX

企業が取り組まなければならないことのひとつとして、SDGsのほかにDXが挙げられます。DXはDigital Transformationの略であり、AIやIoTなどのデジタル技術を用いた業務フローの改善によって、よりよい環境へと変革させることを意味しています。

昨今は、業種や職種を問わず、幅広いところでDX化が進められており、働き方や業務内容が大きく変遷しているでしょう。逆をいえば、DX化を図らずに現状のまま放置していると、これからの社会に通用しなくなることが予想されます。

経済産業省が2018年に発表した報告書では、DX化を放置することによって、2025年以降の経済損失が膨大になると説明されていました。この問題は「2025年の崖」といわれています。

具体的に説明すると、AIやIoT、膨大なデータを活用できず、デジタル敗者になってしまった結果、システムトラブルやデータ流出のリスクが高まり、企業経営そのものが困難になってしまうと考えられているのです。

つまり、将来的なことを考えると、AIやIoTを採り入れたDXは必要不可欠な存在といえます。

Society5.0

SDGsやDXのほかに、Society5.0についても理解しておかなければなりません。Society5.0は、2016年に内閣府に第5期科学技術基本計画において提唱された考え方であり、世界が直面している課題を解決するための取り組みです。

Society1.0が狩猟社会、2.0が農耕社会、3.0が工業社会、そして4.0が情報社会とされており、Society5.0は、これからの新しい社会を指しています。Society5.0では、IoTやAIを活用し、人とものがつながることを想定しています。

さらに、さまざまな技術革新が図られるほか、社会全体が変わり、少子高齢化や貧富の格差といった社会問題にまで訴求している考え方ともいえるでしょう。

これからの企業経営においては、自社の利益追求だけを求めるだけでなく、SDGsやDX、Society5.0を考えていく必要があります。

まとめ

昨今は働き方改革などにより、雇用形態や働き方そのものが多様化しています。しかし、企業によっては一部の社員に業務が集中してしまい、さまざまな問題や課題に直面しています。

業務負担の偏りは、離職率の増加やブラックボックス化、さらに取引先からの信用失墜につながる可能性があります。そのため、会社経営においては、早急に対策しなければならない重要な課題といえるでしょう。

なお、業務負担の偏りを改善することと同時に、SDGsやDXなどの国際的な視野を持った会社経営が注目されています。これから変遷していく社会にどう適応していくか、そして業務負担の改善をどのようにして行っていくかが、重要なポイントになるでしょう。