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真生印刷ってこんな会社!家電メーカーで培った取説・パッケージ・海外展開の対応力

コピー

我々がサービス展開しているマニュサポ(Manufacturing Supporter)は、3つの印刷会社から成り立っています。3社それぞれが長くマニュアルに携わってきた歴史がありますが、各社が持つ特徴や強みは異なっています。

第3弾で取り上げるのは、真生印刷株式会社について。日興美術が聞き手となり、真生印刷の特徴についてご紹介していきます。

真生印刷株式会社 ディレクター  ✕ 日興美術株式会社 ディレクター 松下 

家電メーカー様とのお取引で培ってきた制作体制


松下:それでは真生印刷の概要を伺っていきたいと思いますが、まずご創業は何年からになりますか?

:1954年創業です。当時はチラシやポスターから始まり、徐々に総合印刷会社としてパッケージやラベル、カタログなどにも拡大していきました。私の所属するテクニカルライティング課は、1965年から取扱説明書の制作を始めたと記録が残っていまして、大手家電メーカー様向けにアメリカ向けのテレビの取扱説明書を制作したのが始まりです。お客様が生産拠点を海外に展開していったこともあり、弊社も中国とタイに拠点がございます。国内ですと、ここ堺本社に工場も営業部隊も集約されており、また車で5分程度の場所に物流センターを有しております。工場現場と営業、制作者が近いというのは、緊急時の対応や、現場での立ち合いなどの面でスピード感を持って対応できると感じています。異なる拠点にいる場合、現場を見るのに1、2日かかるような場合もありますからね。そういった面でもすぐに現場に行けるメリットは非常に大きいです。

松下:我々の印刷業界も含めて、昨今は仕事のあり方やビジネスのスタイルが変わってきているのかなと感じます。お客様との信頼を築きながらこれまでやってこられた歴史を通して、今現在、社員の方々が特に自信をもてるところはなんだと思いますか?

:二つありますが、まずひとつは、品質です。例えば取扱説明書は、メーカー様にとって製品を構成する部品の一つです。ですから、我々はいつもお客様の大切な製品の一部を扱っているという意識を持って制作に臨んでいます。その意識に準じた成果物を作り出すためのノウハウとワークフローで品質を支えているのです。もうひとつの強みは、やはり提案力でしょう。我々の制作はお客様の製品理解から始まっており、さらには顧客理解からスタートします。顧客並びにユーザーの立場に立った提案ができるところも我々の強みではないかと思っております。

松下:お客様の大切な商品をお預かりして、そこから制作を始めるプロセスがあると思うのですが、そのあたりを少し詳しく教えていただけますか?

真生印刷株式会社 黛



:例えばパッケージを作る場合は、お借りしたモックをもとにパッケージをどういった形状にするか検討します。パッケージの第一の役割は製品保護ですからそれを最優先に、あとはいかに紙取りを少なくするか、コストダウンするかを考えながら設計しますね。取説の場合は、実際に製品を操作してみることで、ユーザー目線の分かりやすさを意識した提案ができることがあります。製品の操作性の特徴や使用時につまずきそうなポイントなどを理解し、目次構成を含めてゼロから制作することもありますよ。
また、お預かりした新製品に関連するモックや実機は機密情報になりますので施錠管理を行っています。機密情報の取扱いについては社内手順が決まっていますし、その他の業務推進についてもISOをベースにした帳票などを使った手順が確立されています。

松下:マニュアル制作のためのマニュアルというものがあってそれに従って作業をされているということですね。それに準拠する形で作業の標準化を図り、より効率的にクオリティの高いものができる仕組みになっているんですね?

:そうです。実際の制作工程で言うと、特に内校のステップには力を入れています。いろいろな経験をしていくなかで、品質に直結するのは内校のステップで、お客様からの訂正が確実に反映されているかはもちろん、新たな気づきがないか確認していくことが重要だと感じています。当たり前のことではあるのですが、どうしても人の目で見るだけでは漏れが出てくるところがあるので、デジタル検版を行いながら作業の補完を行っています。

松下:パッケージを手掛けられているということは、やはり色の部分のこだわりもお持ちなのでしょうか?

:カラーマネジメントの部分は力を入れています。社内ではジャパンカラーより狭い範囲で色域を設定し、より厳しい基準のもとで色を出せる環境を整えています。ただ、今はWEBに移行している制作も増えてきているので、そのあたりは紙とまた違ってきていますね。

松下:今ではお客様から要求されるものが紙媒体のみではなく、スマホ・タブレットで見るためのWEB用の制作物を作るということが当たり前になってきていますよね。取扱説明書は、昔はカラーで作られていましたが、コストダウンの兼ね合いでモノクロになり、ダウンサイジングされてきた経緯があります。それが今、WEBになることで、またカラーに戻るという現象が起きていて……そのあたりの変化についてはどう感じていらっしゃいますか?

:これまでの紙媒体の取扱説明書は、「取扱説明書」としてある程度メーカー様内で定型化され、劇的な変化が少ない世界だったと感じますし、様々なコストダウンの追求の結果、分かりやすさからある種逆行していく傾向もあったと思います。WEB化は改めてユーザーファーストになるきっかけになっていくのではないでしょうか。お客様にとってのコストセンターだったものをプロフィットセンターへ変えていくことがマニュサポにおける真生印刷の役割のひとつであると感じています。

松下:「プロフィットセンターへ変える」というのはもう少しかみ砕くとどういうことですか?

:例えばWEB取説を作る場合、WEBならではのビジュアルや動画、検索機能を生かして、単なる「取説のWEB化」に留まらない、WEB取説を起点とした顧客満足向上のトータルコーディネートを行うことで、ドキュメントの在り方を前向きに変えていけるのではないかと考えています。これまでの取説制作の範疇には収まらないご提案になれば、当然お客様にも部署間の連携を強めていただくことになるかと思います。今までにない結びつきが生まれれば、そこから新しいアイデアも生まれるかもしれません。これがマニュサポでコンセプトにしている「共創」や「ネットワーク」の話に繋がっていくのです。制作コンテンツを一つのきっかけにしたコンサルティングのようなことが、これからのマニュサポの役割になっていくと感じています。

マニュサポ✕真生印刷

日興美術株式会社 松下


松下:これからのマニュサポではコストではなく「価値」という基準でいかに提案できるのかが重要になっているところだと思うのですが、これまで総合印刷会社としてやってきた強みをどのように活かせると思われますか?

:もちろん総合印刷会社の強みである、間違いのない様々な印刷物を作り続けてきたノウハウが、WEBの時代だからこそ、これから生きてくると思います。さらに、マニュサポのネットワーク、真生印刷、日興美術、デジタル総合印刷での連携・共創を強化し、さらに相乗効果が期待できると思っています。そしてその共創のネットワークにお客様にも入って頂くことで、さらにネットワークの輪を広げていきたいです。お客様がDX化に踏み出すにも様々な障壁があるのが現実だと思うので、そういった点も我々がサポートしていけたらと思います。

松下:さきほどコンサルティングというキーワードも出ましたが、マニュサポで行っていくコンサルティングはどういったものだとお考えですか?

:少しあいまいな答えになってしまいますが、何かしらお客様が成功するためのストーリーをお客様と共に創っていくことだと思います。これまではこういったものを作ってほしいという要望に対してお応えしてきました。しかし今後は、ヒアリングからお客様の求めているものを読み取り、それを解決するための一連のストーリーやアイデアを考えたうえで、そこに対して必要なコンテンツや最適な媒体の提案が必要になってくると感じます。お客様の目指すゴールや思いに対してアイデアを出すことが重要になると思いますし、それが共創になっていくと思います。

松下:様々な課題がある中で、ある意味一つの正しい答えがあるわけではなく、お客様と一緒に答えを見つけ出していくことになるということですよね。従来の印刷業の受注型ではなく、お客様とともに価値を作っていくという双方向のコミュニケーション、さらにはエンドユーザー様とのコミュニケーションを円滑にすることがマニュサポの役割になるのですね。

:製品そのものの開発方法や生産方法は改善や進化が進んでいる一方で、取説制作のように、製品の周辺で必要となるドキュメントや媒体はまだまだアウトソーシングや改革が追いついていない側面があると思いますし、実際のところ若い人材を充てられない苦しい現状もあると思います。そこを外部の視点からお手伝いし、課題解決していくのがマニュサポの一つの役割になると感じています。

松下:マニュサポでは人づくりの部分でも、メーカー様にとってメリットがあるのですね。今後さらに3社で連携を図っていいものになっていくことを期待しています。本日はありがとうございました。