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なぜマニュアルには目次が必要なのか?理由や作成時のコツを解説

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スムーズな業務を行ううえで、マニュアルは非常に重要な存在です。マニュアルの内容や構成が分かりやすければ、新しく業務に参加する人も仕事の流れがすぐに理解できますし、トラブルが起きたときも落ち着いて対処することができます。

そんなマニュアルには、作成する際に押さえておくべきポイントがいくつかあります。なかでも、目次構成は非常に重要です。

そこで、今回はマニュアルにおける目次の重要性、その理由や作成時のコツについて紹介します。ぜひマニュアル作成の参考にしてください。

マニュアルに目次が重要な理由

マニュアルの内容を作成するときと比べると、ないがしろにされがちな目次ですが、マニュアルを書く際にも読む際にも目次は重要な要素です。書き手と読み手、それぞれの視点からその重要性をみていきましょう。

書き手側の視点

まずは、書き手の視点から目次の重要性について紹介します。書き手側からすると「目次よりもマニュアルの内容を充実させた方がよいのでは」と思うかもしれませんが、内容を重視するのであれば、なおさら目次の構成には注意を払うべきです。

主な理由は、以下の3つになります。

マニュアルを作成しやすくなるため

目次は、文章を書く際の設計図のようなものです。家を建てるときに、設計図がない状態で安全な家を建てることはできません。

それと同じように、目次がない状態でマニュアルを作ろうとすると、説明すべきポイントが抜けたりするなどして、文章も内容も破綻した質の低いマニュアルができ上がります。

マニュアルに記載すべき情報は膨大です。そのため、目次を作成する時点である程度本文の構成を決めておかないと、書き手が思いつく情報を手当たり次第に入れてしまい、本当に伝えるべき情報がぼやけてしまいます。

事前にしっかりと構成を考えておけば、情報の取捨選択もスムーズになり、読みやすいマニュアルを作成できます。

作成時のミスや漏れを減らせるため

目次作成をとおして構成を考えることは、マニュアルを作成するときの記載ミス、漏れを防ぐことにもつながります。

あらかじめ構成を考えずに文章を作成すると、思考の方向が定まりません。すると、本来記載すべき内容とは関係ない情報が入りやすくなるほか、逆に必要な情報が抜けやすくなります。

目次を考えておけば、文章のどこに、どの情報を記載すればよいのか一目でわかり、推敲する際に確認すべきポイントが明確です。そのため、ミスを減らすだけでなく、校閲者の負担も減らすことにもつながります。

更新時も作業しやすくなるため

目次はマニュアルを作成するときだけでなく、修正作業を行うときにも重要な道標になります。たとえば、既存の作業工程に新しいシステムを導入する際、マニュアルに目次がなければ、まず更新箇所を探さなくてはなりません。

更新箇所、内容が1つや2つなら問題ないかもしれませんが、10、20と修正箇所が増えていくにつれて、修正作業は煩雑になっていきます。

そのため、将来的に加筆修正する可能性があるなら、目次の構成は具体的に考えておくべきです。後の作業に支障が出ないよう、計画性を持って構成しましょう。

読み手側の視点

続いて、読み手側の視点から目次の重要性について取り上げます。マニュアルを作る際は作った人だけでなく、使う側である読み手も理解できるように仕上げなければなりません。

そして、読み手に配慮したマニュアル作りを目指す際に役に立つのが目次です。主な理由は以下の2つになります。

全体の流れが一目で把握できるため

すでに説明したとおり、目次は文章全体の設計図です。一貫性のある構成を目次作成の段階で作ることができれば、一目で対象の業務の作業フローを理解できる、良質なマニュアルが書けます。

新しい作業を行うにあたって、細かい作業内容を把握するより、作業の大枠を把握する方がイメージしやすく効率がよいでしょう。初見でも目次で全体の流れを理解できれば、非常に親切な作りのマニュアルと言えます。

読みたい箇所をすぐに見つけられるため

マニュアルに目次がない場合、自分が読みたい工程の説明がどこに書いてあるのかまったく把握できません。そのため、まず記載箇所を探す必要がありますが、これでは作業効率が下がってしまいます。

目次は読み手にとって、自分が必要としている情報がマニュアルのどこに書いてあるのか教えてくれる道標です。目次は整理されているだけでなく、さらに細かい構成まで記載されていれば、より読み手にとって活用しやすいマニュアルになるでしょう。

マニュアルの目次を作成する手順

ここまで書き手、読み手の視点から目次の重要性について紹介してきましたが、続いて実際に目次を作成する手順について説明します。マニュアルの品質を左右する重要な作業ですが、ポイントさえ押さえてしまえば、スムーズに目次を作ることが可能です。

1.必要な情報を洗い出す

まず目次を作る前に、マニュアルに記載する情報の洗い出しを行いましょう。マニュアルは初めて業務を行うときや、業務工程で不明確な部分があったとき、疑問点を解消するために見るものです。

不必要な情報や、作業とは直接関係ない情報が多数記載されていると、読み手は本当に知りたい情報を得ることができません。それでは、マニュアルとしての機能を果たしているとは言いがたいでしょう。

そのため、あらかじめ記載すべき情報と、そうでない情報の洗い出しを行う必要があります。もちろん、業務内容に対する深い知識と理解、経験がなければ高品質のマニュアルは作れません。

よって、情報収集を行う際はひとりよりも複数人、可能なら他部署の人の力も借りて行うとよいでしょう。

2.洗い出した情報を整理して分類する

情報の洗い出しが終わったら、続いて情報の整理、そして分類を行います。集めた情報の重要度、種類を確認しながら、マニュアルに必要な情報をリストアップしていきましょう。

洗い出し作業を行ううえで大切なのが、常に読み手、マニュアル使用者の視点を意識することです。たとえば製品マニュアルを作成する際は、製品の仕様上の区分で情報をまとめたり、分けたりするのが一般的ですが、それがベストな手段とは限りません。

読み手が製品を使う際に何を知りたいのか、何をしたいのかを意識して、どの情報を残してマニュアルに配置するのか考えましょう。そうすれば、おのずと情報の整理の仕方が見えてくるはずです。

3.読み手にとってわかりやすい順番に並べる

情報の整理路分類ができたら、目次の構成を考えます。その際、読み手にとって見やすい、わかりやすい順番を意識しながら作成しましょう。

たとえば洗濯機のマニュアルを使う際、まず洗濯機の使い方を知りたいはずです。しかし使用手順の記載順番の前後や、いつの間にか洗濯機の使い方とはまったく関係ない説明が書かれていたら、読み手にとって使い勝手がよいマニュアルとは言えません。

順番を考えるコツは、概要情報から詳細情報へ、そして全体的な情報から部分的な情報へ、読み手を誘導する書き方を意識することです。目次の順番に限らず、わかりやすい文章を作成する際には役に立つ知識なので、覚えておきましょう。

4.内容が推測できるような見出しにする

目次を作る際は、読み手が一目で内容を推測できる見出しにしましょう。目次は読み手にとって、調べたい情報を探す重要な道標です。

内容が充実していても、目次を見て自分が調べたい情報がどこにあるのか皆目検討もつかなければ、それは読み手にとって大きなストレスになります。

見出しを考えるときは、読み手の動きを想像して「〜する」という動詞の形にするのがおすすめです。動詞を採用することで、読み手側は見出しの後に続く本文の内容を予想しやすくなり、情報を探す手助けになります。

たとえば、電子レンジの使用手順を記載するマニュアルを作成する場合は「加熱」ではなく「加熱する」という見出しにした方がわかりやすいです。

「加熱」と書かれているだけでは、それが加熱の仕組みを解説している項目なのか、または加熱の方法を説明しているのか判断できません。理解しやすい、想像しやすい表現を使用しましょう。

5.見直して問題があれば修正する

マニュアルの目次構成を考えたら、作業に着手する前に目次の見直しを行いましょう。項目の抜けや、理解しやすい順番で組み立てられているかなどを確認します。

チェックの際は、必要な情報を洗い出す作業のときと同様に、ひとりではなく複数人で確認しましょう。個人のチェック、とくに製作者の目だけでは、見落としに気づきにくいからです。

チェックをして最終的に問題がなければ、目次に基づいてマニュアルの作成に着手しましょう。

マニュアルの目次を作成する際のコツ

続いて、マニュアルの目次を作成する際のコツについて解説します。社内で長く、そして広く使われるマニュアル作りを目指すためには、何が重要なのか一緒にみていきましょう。

読み手の視点を重視して作成する

目次を作成する際は、読み手の視点を意識しましょう。マニュアルを使う人の立場、目的を考えながら作業することは、使いやすいマニュアルの制作に役立ちます。

たとえば、新入社員向けに新しいマニュアルを作る場合、専門用語はできるだけ使用しないようにしましょう。わからない言葉ばかりだと、肝心の作業内容ではなく、用語を覚える方に注力してしまうからです。

当然先のことを考えるなら専門用語も覚える必要がありますが、注釈や用語解説ページを作成するなどの工夫が求められます。

また、マニュアルの管理方法にも気を配りましょう。外回りが多い営業部署の場合、紙のマニュアルを持ち運ぶより、データ化してスマホでチェックできるようにした方が利便性は高まります。

せっかく内容の充実したマニュアルを作っても、読んでもらえなければ形骸化してしまうだけです。読み手がマニュアルを読む状況を想定し、どうすれば読み手に読んでもらえるマニュアルが作れるか考えましょう。

構成は時系列にする

歴史の勉強をするときは、同じ時代に起きた出来事をまとめて学んだ方が流れを把握しやすいですが、マニュアルの目次を作るときも同じです。業務内容に関する構成は、時系列に沿って作成するようにしましょう。

マニュアル化された仕事は、定型的な内容の作業が多いので、説明や作業フローがバラバラに記載されているマニュアルでは意味がありません。

時系列に合わせた目次を作る場合は、まず作業手順を最初から最後まで洗い出し、必要な情報をリストアップしましょう。このとき、細かい業務もできるだけ網羅します。それから作業を時系列順に並べ、抜けや漏れがないか確認すると効率がよいです。

最初に全体の作業を把握できれば、その後細かい作業内容を覚える効率も上がります。わかりやすい時系列で目次を構成する意識を常に持ちましょう。

使用者の目的別に組み立てる

マニュアルの作り方は、主に機能別構成と目的別構成の2種類に分けられます。前者は機械やシステムの機能によってカテゴリーを分ける方法で、後者は利用者の目的に合わせてカテゴリーを分ける方法です。

従業員向けにマニュアルを作る場合は、前者の方式を採用して目次を組み立てることをおすすめします。

従業員がマニュアルを使用するのは、自分が行っている作業フローが理解できないときや、突発的なトラブルに対してどのような対応をすればよいのか判断に困っているからです。そのため、目的別構成のマニュアルの方が便利と言えます。

作業フローのポイントや使用機器の機能など、すべてマニュアルの製作者の視点から書いた結果、読み手に伝えたい情報が分かり辛くなってしまうのは、マニュアル制作におけるありがちな失敗です。

どんなときにマニュアルが必要になるのか、工程によってどんなトラブルが発生することが想定されるのか、使用者の立場になって考え、目次を組み立てましょう。

階層構造を意識する

マニュアルで重要なのは、作業工程の全体像を理解できるような書き方です。とくに初めて作業に関わる初心者の場合、自分の行っている工程がどのように全体の業務につながっているのか理解できていないことがほとんどです。そこで役に立つのが、階層構造です。

たとえば、商品の納品方法ついてマニュアルを作成するとき、目次に「商品の納品方法」と書くだけでは、作業フローやトラブルが発生したときの対応方法など、そのときに知りたい情報をピンポイントで見つけられません。

そのため「商品の納品方法」の見出しの配下に、見出しとして「作業フロー」や「トラブルの対応方法」を追加します。業務を階層化して詳細情報を記載することで、作業工程全体の流れやそれぞれの業務の目的を明確にできます。

ただし、無秩序に見出しを追加すると、逆に目的の情報を見つけにくくなります。本当に必要な詳細情報は何か、しっかり吟味したうえで追加しましょう。

何について書かれているかを明記する

マニュアルの目次は、読み手にとって必要な情報を探すためにも重要な存在です。そのため、目次に何について書かれているか明記することで、マニュアルの利便性が高まります。

もちろん記載する情報は、作業に関係するものすべて載せればよいわけではありません。それぞれの作業工程自体は単純であっても、複数の作業工程がひとつの作業フローを構成することによって、情報は複雑かつ膨大になります。

そのため、あらかじめ目次に明記する情報は厳選しておきましょう。情報の取捨選択をする際は、マニュアルの使用者の立場から必要な情報を探すためにも、実際に作業を行いながら確認することをおすすめします。

マニュアルに記載する情報だけでなく、目次に記載する情報まで気を配りましょう。

困ったときの対応についての項目を作成する

仕事にはトラブルがつきものです。そこで、トラブルが発生したときに従業員の助けになるQ&Aのページも作成しておきましょう。

作業フローの不備を自覚している場合は、目次から関連する工程が記載されている項目見つけ、そこから必要な情報を調べられます。しかし、作業工程のどこでミスがあったのか理解していない場合、必要な情報が記載されている項目を発見できません。

トラブルに関するQ&Aのページを設けておけば、必要な情報がマニュアルのどの項目に記載されているのかすぐにわかりますし、自力でトラブルを解決できるようになれば社内対応の時間も削減され、全体的な作業効率も向上します。

管理・更新を簡単に行えるようにする

マニュアルは、作成したらそれで終わりではありません。たとえ完璧なマニュアルを作成することができたとしても、時間が経てば新しいシステムが導入されるなどして、記載されている内容と実際に行われている業務内容は乖離していきます。

マニュアルは必ず定期的に見直し、改稿するようにしましょう。そのためにも、マニュアルのフォーマットは統一することをおすすめします。作成形式がバラバラだと、マニュアルごとに構成を把握する必要があり、非常に非効率的です。

同じフォーマットであれば、製作者以外の人でも全体構造の把握、そして更新すべき箇所を見つけやすくなります。また、更新履歴も作成すれば、最新の作業工程が記載されているのか読み手がすぐに把握しやすいです。

マニュアル作成時のツールはWordやExcelなども使えますが、マニュアル作成に特化した専用ツールの利用が最もおすすめです。フォーマットが統一されているほか、マニュアル作成時に有用な機能が充実しているため、管理や更新も簡単に行えるでしょう。

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まとめ

以上、マニュアルに目次が必要な理由と、作成時のコツについて取り上げました。マニュアルを作るにあたって、一番重要なのは読み手に必要としている情報が伝わるかどうかです。

たとえ内容が充実していたとしても、書き手にしかわからない表現の多用や、時系列が統一されておらず作業の全体像が把握できなければ、それはよいマニュアルとは言えません。

そのためにも、マニュアルの設計図である目次の作成は重要な工程です。目次を作る際に文章全体の構成、流れも一緒に考えれば、読み手に寄り添った文章が書けます。

マニュアルを作成する側は内容にこだわるだけでなく、構成を決める目次作りにも真摯に取り組み、長く使ってもらえるマニュアルの作成を目指しましょう。